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2014.06/01(Sun)

TS小説・9 

●設定<オリジナル部分>

・ゲーム内に登場しない施設でてくるかも?
・狐、龍のみ男女性別あり。
・復活の術の効果:術者の生命と引き換えに、対象の怪我・病気を完治。
 (リカバリーでは病気や致命傷により流れ出た血液までは治せない)
・カバリア島住人は25歳以上にならない。




●キャラ紹介

あいりす れい くれあ らん みこと
氷愛 涙空 ノガル ライア ことり
胡蝶 ティファ よーるる

【More・・・】

 <兄との電話>

 そのころ、ノガルたちと一緒に【月光の調べ】から【イベントガーデン・セレモニア】へと場所を移した氷愛は、みんなにも聞こえるようスピーカーモードにした携帯越しに兄である龍・胡蝶に事の成り行きを伝えていた。
『――――要するに、あやめと会える最後の機会かもしれないから帰ってきてほしい、ってことか?』
「うんっ。お土産とかはいいから、明後日までにマスター引っ張って帰ってきてね?絶対だからね!」
 そんな有無を言わせない口調の氷愛と彼女を見守るノガルたちの耳に、電話越しの胡蝶が小さく笑む声と胡蝶の傍にいるであろう『癒しの翼』ギルドの元マスターである兎・ティファが何かの歌を口ずさんでいる声。それと、何かの乗り物の駆動音と微かに波の音が聞こえた。
「あら?こちょさん。もしかして今船の上にいますか……?」
『お、よくわかったな。今カバリア島行きの船に乗っているから、遅くとも今夜中にはそちらに帰れそうだ』
 胡蝶は相変わらずの落ち着いた口調で、事もなげに答えると『そういうわけで、詳しいことはそちらに着いてから聞かせてもらいます。では、今夜にでもお会いしましょう』と言い残し電話を切ってしまった。
「え、ちょっと待って、せめてマスターの声も聞かせてよ……!」
 咄嗟に氷愛が叫ぶが、その叫びも空しくすでに通話は切れてしまっていた。
「まあまあ。胡蝶さまもティファさまも、今夜には会えるんだから怒らない怒らない」
 そんな氷愛に涙空はおっとりした口調でそう言うと、よしよしと宥めるように彼女の頭を撫でにっこりと微笑みかけた。
 その様子を少し離れた位置から見守っていたライアは、同じく離れた位置におり、手持ち無沙汰な様子で氷愛たちを眺めていることりに近づいた。
「今夜、元『癒しの翼』のメンバー数人で集まることになりそうですが、ことりさんも参加されますか?」
 するとことりは、突然話しかけられたことに多少驚きながらも小さく首を振った。
「いえ、このあと用事もあるので遠慮させていただきますね。それでは!」
 そしてことりは静かにそう答えるとノガルたちとも挨拶を交わし去っていき、ことりに続くようにノガルたちも【セレモニア】をあとにした。



 <カバリア島への帰還>

「――そういうわけで、詳しいことはそちらに着いてから聞かせてもらいます。では、今夜にでもお会いしましょう」
 カバリア島行きの船の甲板にて。氷愛たちとの通話を終え一息吐いた銀髪の龍・胡蝶は、先程から隣で歌を歌い続けている茶髪の兎・ティファへと目を向けた。
「――――懐かしい歌を聴いた それは遠く遠く けれど一番心の近い部分で鳴り響いていた 碧く瑞々しくそして力強く私に語りかけてくる歌 生命の歌――――」
 心に響くような優しい歌声に頬が緩みそうになるのを感じながら、胡蝶はティファの頬に手を伸ばし――
「――――そう 私は貴方から生まれ そして貴方に還ってゆく 優しく厳しい歌に抱かれ支えられ見守られ この輪廻に感謝……って、胡蝶サン。痛い痛い!」
 頬を撫でるかと思いきや、容赦なく頬をつねった。
 ――それも、ティファの反応を楽しむように窺いながら。
「お」
「『お』じゃないデス!いきなり何するんですカ!」
 ティファの反応に満足したのか、彼女の頬から手をはなした胡蝶は短く呟き、対するティファは涙目になり頬をさすりながら彼の暴挙に抗議したが……、
「なんとなくだ、気にするな」
 と、そんな素っ気ない言葉で軽く流されてしまった。
「『なんとなく』で未来の妻のほっぺをつねらないでくだサイ!」
「『未来の妻』なんて言葉、恥じらいもなくよく言えるな……」
 拗ねたように頬を膨らませるティファに胡蝶は苦笑しながらそう答え、どことなく遠い目をして船の進行方向に広がる水平線を眺めた。

「……あやめサンとあいりすサン、この先どうなるんでしょうネ」
 胡蝶の考えを見透かすように呟いたティファは、寂しげな顔をして胡蝶の横顔を眺めた。
 すると胡蝶は悼むように目を伏せ、ティファにだけ聞こえる声で何かを囁き――

「――俺の推察があっているかどうか確証を得るためにも、到着次第あやめに会いに行くぞ」

 と、遠くに見えるカバリア島に向かってそう宣言した。



 <彼女の選ぶ茨の道>

 所変わってあいりすの部屋では、幾分か落ち着いた様子でベッドに寝かされているあいりすを、みことたち一同が不安げな面持ちで見守っている。
 『落ち着いた』とはいえどあいりすの顔色はいまだ蒼白で、時折苦しげな咳を繰り返している。
「あいちゃん……。ここ数日で一気に症状が悪化してきてるね」
「ですね……。やっぱり、あやめさんと会ってることが悪化の原因なんでしょうか?」
 くれあの問いかけに、みことは小さく頷き「だろうな。これ以上あの人の元に行かせないようにしたいところだが……」と答えてはみたが……。

「――――それでも、あいりすお姉様はきっと……、いえ。間違いなく、またあの方に会いに行きますの」

 と、れいに断言されてしまった。
「あいりすへの対処の件はノガルさんとライアさんが戻ってきてから決めるとして、まずは残りの三人にもこのことを伝えておかないといけないな。――まあ、ぐれん以外の二人は正直あてにならないが、伝えておかないよりはマシだろう」
「……みこと様、さりげなく酷いこといってますね。まあ、その二人に関してはあたしも同意見ですけど」
 当人がいないのをいいことに言い放題なみこととくれあの言葉に、普段であれば何かしら反論しているらんも、その二人――しゅうとしぇる――にはあまり期待していないようで、みことの隣で困ったような笑みを浮かべるだけだった。
 ちなみにぜろはというと、少し前まではれいの隣でウトウトと船を漕ぎながらもかろうじて起きてはいたのだが、どうやら眠気の限界が来てしまったようで、今ではれいの膝枕ですやすやと眠っている。
「あらあら、ぜろちゃん寝ちゃったね。れいちゃんは大丈夫?」
 れいはらんの声に答えるように小さく頷いたが、やはり眠いのは眠いようで少し前までのぜろと同じくウトウトと船を漕いでおり、じきに寝てしまうだろうことは誰の目にも明らかだった。
 らんはそんな様子のれいを見、微笑ましげな笑みを浮かべると「ノガルさんたちが戻ってくるまであいちゃんの傍にいてあげたかったけど、ちゃんと眠ってるみたいだから今日のところは帰ろっか」と提案し、すでに寝ているぜろを抱きかかえ立ち上がった。
「そうだな。ノガルさんたちには俺から連絡しておく。悪いがぐれんにはくれあから伝えてもらってもいいか?」
「わかりました。残りの二人へは……。――――ぐれんに伝えさせます」
 そう答え、みことも半ば寝ているれいを抱きかかえ立ち上がった。そして続くようにくれあも立ち上がると、みことたちは静かにあいりすの部屋から出て行った。

「――ん……。あれ、いつの間にここに……。あ、そっか。わたしまた倒れたんだ」
 ――数時間後。目を覚ましたあいりすは力なく呟くと、未だ万全には程遠い体調のままベッドから抜け出した。
 そこで初めて、自分がいつの間にか寝間着へと着替えさせられていたことに気づき、普段よりもゆっくりとした動作でクローゼットの中から黒い二次衣装を選びだし着替えを済ませた。
「みんな、ごめんね。やっぱりもう一度あの人の元に行かなきゃ」
 そしてそう呟くと、普段は使うことのない転送用の羽を使い【バンパイアキャッスル】へと飛んだ。



 <思い出の残る部屋>

「ノガルさん、ライアさん、お久しぶりです。ひめひめ、涙もちょっとぶりだね。元気にしてた?」
 【セレモニア】から移動したノガルたちは、かつて『癒しの翼』ギルドの仲間たちが集会場所に利用していた胡蝶、朧、あやめ、涙氷、氷愛の家へと集まっていた。
 ――元々胡蝶たち家族で暮らしていたこの家も、胡蝶がカバリア島を出、朧とあやめ、涙氷がいなくなり、氷愛も違う家で涙空と住むことになり出て行った今、思い出だけが残る無人の家になってしまったが、氷愛と涙空が定期的に手入れに訪れているため家の保存状態は極めて高い。
 ノガルから連絡を受け真っ先に駆け付けた涙空の姉である羊・よーるるは、リビングにて一同に挨拶を済ませるや、氷愛と共に感慨深げに各部屋を見て回った。

 まずは胡蝶の部屋へと。
「ほんと懐かしいなぁ。あ、でもこちょ兄のお部屋見るのはわたし初めてかも」
「兄さん、家にいるときは大抵リビングでくつろいでたから、私もほとんどこの部屋に入ったことないよ。朧姉さんは頻繁に出入りしてたみたいだけどね」
 様々な分野の文献が何冊も本棚に並んだ胡蝶の部屋は、全体的に白と黒の家具で統一されており、かなり落ち着いた雰囲気を醸し出している。
 よーるるは本棚に並んだうちの一冊を手に取ってみるも、表紙も中身も何語で書かれているのかすらわかないものであったためすぐに元の位置に戻した。
 そして何気なく部屋を見回し、机の上にある写真立てが目にとまった。その写真には氷愛がまだ幼かった頃の姿で写っているため、少なくとも十四年以上前に胡蝶たち家族五人で撮ったもののようだ。
「わ、懐かしい~。それにちっちゃいひめひめ可愛い!」
「……昔の自分に対してってわかっていても、そう面と向かっていわれるとちょっと、――というかかなり恥ずかしいね……」
 写真を見たよーるるの素直な感想に氷愛はほんの少し顔を赤らめ、それを誤魔化すように「さ!次の部屋にいこう?」とよーるるを別の部屋へと促した。

 次の部屋――朧の部屋へと。
「……あれ?ここおぼらんのお部屋であってるよね?わたしの記憶だと、確かもう少し物が多くて大人びたお部屋だったような……」
 部屋に入り開口一番、よーるるはそう不思議そうに訊いてきた。
 朧の部屋に頻繁に訪れていた身としては、必要最低限の家具しか残されておらず閑散とした今の状態の部屋に違和感を覚えたようだ。
「あ、やっぱり驚いた?朧姉さん、私たちの前からいなくなる前に私物処分しちゃったみたいなの。だからもうあまり残ってないんだ」
 事実、家具以外で残っているのはクローゼット内に衣服が何着かと、机やベッドの枕元に置かれた写真立て、本棚に並んだ何冊かの書物、同じく本棚に並んだアルバム程度であり、朧が本当に大切にしていたもの以外は残っていなさそうだ。
「そっか……。でも、大切にしてたものはちゃんと残してるところが、なんだかおぼらんらしいね」
 よーるるは残念そうにそう言いながら部屋の中を歩き回り、ベッドの枕元に置かれた写真立てを手に取った。
 その写真はどこかの施設の前で撮ったもののようで、朧とよーるる。それと小さな兎と羊が二人に抱きつくような格好で写っていた。
「わ……、この写真懐かしい!」
「確かその二人って、私がまだ幼かった頃に朧姉さんとるるお姉さんがお手伝いにいってた図書館でお世話を任されてた子たちなんだよね?」
「そうそう。ひめひめや涙よりふたつ年下の子たちだよ~。みんなでおぼらんにお花をお供えに行った時にもいたけど……さすがに昔のことすぎて覚えてないかな?」
 懐かしくも寂しげに訊くよーるるに、氷愛はゆっくりと首を振り「あの時は……朧姉さんが死んだことを認めたくなくて、泣いてばっかりで周りを見る余裕もなかったから……」と悲しげに笑み呟いた。
 涙氷に続き、あやめ、朧。大好きだった三人の姉たちとの死別に、当時八歳という幼さだった氷愛が耐えられるはずもなかったので、周りを見る余裕がなかったのも無理はない。
「……つらいこと思い出させちゃったね。――さ、気を取り直して次のお部屋に行こう?次は~、ひめひめのお部屋ね!」
「え、ちょ!胡蝶兄さん、朧姉さんって流れ的に、次はあやめ姉さんの部屋じゃないの!?ってか、部屋の順番的にも私最後のはずだよね……!?」
 まさかいきなり自分の部屋の案内を求められるとは思っていなかった氷愛の見せた動揺に、よーるるはクスクスと楽しげに笑っている。
 そして氷愛を引き連れ朧の部屋を出ると、あやめと涙氷の部屋の前を通り過ぎ、宣言通り氷愛の部屋の前まで移動した。
「…………冗談じゃなく、ほんとに私の部屋なんだ……」
「もちろん!あ、もしかして何かわたしに見られたら困るものでも置いてあったりするのかな?」
 案内を躊躇する氷愛に、よーるるは多少からかうような口調で訊き――
「そういうわけじゃなけど……。って、ちょっと待っ――」
 ――氷愛からの返事を待たず、勢いよく部屋のドアを開け放った。
EDIT  |  12:28 |  小説  | CM(0) | Top↑

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